アンケートで、日本人が果物を食べない理由の上位に「面倒臭い」がある。
従って、どうすれば手間を掛けずに美味しく食べられるか、職業柄、常に頭の片隅にある。
前回登場した山形県朝日町のりんご農家で、コロンブスの卵を発見した。「輪切り林檎」だ。
座敷に上げていただき先ず出て来たのが、お茶と漬物。
続いて皿に山盛りの輪切り林檎とフォーク。
輪切りになったりんごの星形の芯にフォークを刺して食べて、と。もちろん皮付き。
真ん中に刺したフォークを回しながら食べると、最後にフォークの先に種つきの芯だけが残るという寸法。
実に簡単なカットで手間が省け、厚さで硬さもコントロールできる。
剥くのが「面倒臭い」の解消になった。
それからというもの、産地に行くと食べ方に注目するようになった。
愛媛の美生柑(河内晩柑)の畑に入った時の事。
とても美味しいけど食べにくいので「産地でもハーフカットで昔のグレープフルーツみたいにスプーンですくって食べるの?」と生産者さんに聞いたら、りんごのように外の皮ごとグルグル丸剥きして、ハーモニカのように果肉に齧り付いて見せた。なるほど、多めの種が中心に集まっている美生柑ならではと思ったが、何せ美味しい果汁を半分くらい落としてしまうので、こちらはそのまま真似できそうにない。(2021.3.23.)